 
     
             
        
        今必要な暮らしは、環境を守り、子どもたちの未来を守る暮らし。
        
 私たちは、子どもたちに何を残してあげられるだろうと考える。
        
 お金だろうか。確かに少しは残してあげられたらいいと思う。
        
        
 でも、お金があったら幸せ?
        
 生きてゆくために必要な衣食住も、もはやすべてお金で買うのが当たり前。
        
 家で困ったことがあれば、すぐに有料サービスを使って業者を呼んで解決する。
        
        
 お金で測れないものが大事だといいながら、お金で測れるものが価値になってしまった。
        
 大事なのは「それって、本当にお金で解決しなきゃいけなかったの?」と問うことかもしれない。
        
        
 暮らしを考え、家族の幸せを考えるとき、本当に収入が一番大事だろうか。
        
 子どもたちに残せる大切なものって何?
        
 未来のために今できることって何?
        
        
 せっかく100年ぐらい生きるんだったら、
        
 青い地球を守りながら、幸せに生きていくほうがいいですよね。
        
 いがみ合って、地球温暖化を引き起こして、一部の人だけがお金持ちになる社会と、
        
 みんなが仲良く幸せに過ごして青い地球を守る社会とどちらがいいですか。
        
        
 幸せになることを選びましょう。それがサステナブルな暮らしです。
    
お父さんが最近よく言う
 「少し不便だけど、幸せでかっこいい暮らし」が、
                        
 少しだけ分かった気がする。
                    
 
                        息子(空)
9歳、小学4年生。家族でキャンプするのが大好き。学校で、持続可能性(SDGs)について考える授業が始まった。
 
                        お父さん(繁)
38歳、電器メーカーで働く。最近、やたらとDIY思考。マンション暮らしを卒業して、自身のプランでマイホームを建てる。
 
                        お母さん(花)
35歳、老人介護施設のパートで働く。実家は、兼業農家。
 
                        じいちゃん(お母さんのお父さん)
70歳、畑と田んぼで美味しい野菜とお米を作っている。
お父さんとお母さんが、たくさんお金を借りて、家をつくった。
                        
 屋根には、太陽の光で発電するパネルがのっている。
                        
庭には、ガラスの棒がたくさん並んだ、SOLAと書かれたものが置いてある。
                        
                        
 「お父さん、これなーに」
                        
 「できるだけ、自分の家でいろいろなものをつくりたいと思ってね。これは、太陽熱温水器といってお日様でお湯を沸かす優れものだぞ」
                        
 「お湯を沸かして何に使うの?」
                        
 「空と一緒に入るお風呂にも使うぞ。『今日は天気がよかったから、いいお湯ができた。だから、ゆっくりお風呂に入ろう』みたいな生活だ」
                    

家ができて初めての夏、家族で薪をつくった。
 お母さんは乗り気ではなかったようだけど、我が家の暖房は薪ストーブなんだ。
                        
 そして、寒い冬がやって来た。
                        
 「薪づくりは結構手間だから、スイッチポンがいいわ」といっていたお母さんだけど、薪ストーブの温かさには、満足のようだった。
                    

四年生になった春のある日、
 僕がお父さんに
                        
 「地球の未来にとってやさしい暮らしってどんな暮らし?」
                        
 「僕の家はどうなの?」と聞いた。
                        
 学校でSDGsのことについて、少し教わったんだ。
                        
                        
 お父さんは少し驚いた様子だったけど、少し考えてからこう言った。
                        
 「自然や動物や空たちが、困らないように、必要以上にエネルギーを使ったり、必要以上にものを買ったり、使ったりしないことかな」
                        
 「家は、電気もお湯も太陽の恵みでつくっているから、少しは未来にやさしい暮らしなんじゃないかな」
                    

そんなことがあった週末。近くに住む、お母さんのお父さん、つまりおじいちゃんの家に、ジャガイモの植え込みのお手伝いに行った。
                        そして、僕が同じ質問をするとおじいちゃんはこんなことを話してくれた。
                        
 「おじいちゃんは、自然の力を借りて、野菜を育てているから。お日様にも、自然にも、大地にも感謝しているよ。
                            だから、自然が困らないように、ここの環境を守りながら暮らしていこうと思っている。 少し大変で、都会の生活より面倒くさくて不便なこともあるけど、美味しいものに囲まれて、気持ちのいい暮らしだぞ」
                    

最近、お母さんは、週末になるとおじいちゃんの畑に行って野菜作りを教わっているんだ。
 「今まで、気づかなかったけど、自分でつくった野菜でお料理するのって、すごく美味しいし、贅沢なことなんだと思うんだよね。 空のためにも、楽しみながら、少しでも自分たちで食べるものを作っていけるといいな」
                    

少しだけれど、自然の恵みで暮らし始めた空一家。 それまでのマンション暮らしでは体験できない、大変さや不便さもあっただろう。でも、それ以上の豊かさも感じ始めているようだ。
                        
                        
 今、空君は、どう思っているんだろう。お父さん、お母さんは、何を感じながら暮らしているんだろう。
                        
                        
 空君の10年後が、楽しみだ。
                    

 
    これからの未来を生きる子どもたちは、
 もっと自然の大切さや豊かさを知って、育った方が絶対にいいと思います。
        
 「少し不便だけど、幸せでかっこいい」。
        
 そんな、自然と共生する暮らしこそが、低ストレスで、気持ちのいい暮らしです。
        
 ポリ袋より布バック、プラスチックトレーより陶器や漆器、化学物質より自然素材、無理するより無理しない。
        
 きっと気持ちがいい暮らしは、生命として自然な暮らしだと思います。
    
 
                        ①自然のエネルギーで暮らすこと。
太陽で電気やお湯をつくる。心地よい風を家に招き入れる。火のあるライフスタイルを取り入れてみる。etc
 
                        ②自然の恵みを育て、食べる暮らし。
小さな面積でもいいので、土に触れ、食べられる作物の種を蒔く生活をする。作物の生長を見守り、収穫して食べる、そして、その種をまた蒔く。
 
                        ③自然の恵みをわけてもらう暮らし。
山菜やキノコリテラシーを身につけ、旬の恵みをいただく。川や海で自分で獲った魚介類を食べる。シンプルで贅沢な生活を取り入れる。
 
                        ④自然の恵みで暮らしの道具・用品をつくる。
使い終わったら自然(大地)に還る自然の素材で生活の道具を作ってみる。自分でつくるから、愛着がわく。気持ちのいい暮らし。
 
                        ⑤疲れたら、森に行く暮らし。
もともと、人間も自然(森)の中で暮らしていた。週に1日は、自然からエネルギーをもらってリフレッシュしよう。
 
                        ⑥便利から少し離れてみる暮らし。
コンビニやスーパーに、行かない日をつくる。あるものだけで過ごす、お金を使わない、いつもと違う少し不便な日をつくる。
 
                        ⑦地域と関わる暮らし。
日常の忙しさに追われ、煩わしいと思っていた地域の自主行事に参加してみる。新しい出会いや気持ちのいい関係性が生まれたりするかも。